「付き合う人によって人生が変わった」と感じたことはないでしょうか。
前向きな人と一緒にいると、自分も前向きになる。反対に、愚痴や悪口ばかり言う人と長く付き合っていると、いつの間にか自分も同じような言葉を使うようになることがあります。
私たちの心は、自分が思っている以上に周囲から影響を受けています。
仏教では、私たちの心のあり方を考えるうえで「機(き)」と「縁(えん)」という言葉があります。
今回は、付き合う人や環境によって人生が変わる理由を、仏教の「機」と「縁」から考えてみます。
因果の道理で人生を変える

仏教でいう「機」とは何か
仏教では、私たちの心のことを「機(き)」といいます。
なぜ「機」というのでしょうか。
「機械」という言葉にも「機」という字が使われています。機械は、それだけでは動きません。外から力や作用が加わることによって、さまざまな動きをします。
私たちの心も、それとよく似ています。
嬉しいことを言われれば喜び、嫌なことを言われれば腹が立つ。褒められれば気分がよくなり、批判されれば落ち込むこともあります。
このように私たちの心は、外からの働きかけによって、喜んだり、怒ったり、悲しんだりと、さまざまに動きます。
だから仏教では、私たちの心を「機」といわれるのです。
そして、その機を動かす外からの作用を「縁」といいます。
どのような縁に触れるかによって、私たちの心は善い方向にも悪い方向にも動いていきます。
だからこそ仏教では、どんな縁に近づくかが非常に大切だと教えられるのです。
「縁」によって私たちの心は変わる
仏教では、物事は一つの原因だけで生じるのではなく、さまざまな条件がそろって結果が現れると教えられます。
その条件を「縁」といいます。
私たちの心や行動も、周囲の縁から大きな影響を受けています。
身近なところでは、
- 誰と付き合うか
- どんな場所で過ごすか
- 何を見たり聞いたりするか
- どんな言葉に触れるか
- どのような環境に身を置くか
といったものが、自分を取り巻く縁になります。
だからこそ、人生を変えたいなら、自分の意志だけではなく「どんな縁に近づくか」を考えることが大切です。
仏教が教える大切にするべき人

環境を変えると行動も変わる
たとえば、受験勉強をするとします。
自宅で勉強するのか、図書館でするのか、カフェでするのか。それだけでも集中力は変わります。
自宅ではテレビやスマートフォンが気になって集中できない人でも、図書館へ行けば周囲の人が勉強しているため、自然と机に向かえるかもしれません。
「勉強しよう」という本人の気持ちは同じでも、置かれた環境によって行動は変わります。
これは仕事や運動、読書などでも同じです。
何かを続けたいときに意志の強さだけに頼るのではなく、続けやすい縁を自分から作ることも大切なのです。
付き合う人によって人生は大きく変わる
環境の中でも、とりわけ大きな影響を与えるのが「人」です。
誰と付き合うのか。誰の話を聞くのか。誰と多くの時間を過ごすのか。
それによって、自分の考え方や価値観は少しずつ変化していきます。
向上心のある人と付き合えば、自分も「頑張ってみよう」と思えることがあります。
反対に、いつも他人の悪口を言っている人たちの中にいれば、最初は嫌だと思っていても、いつの間にか自分も同じように他人を批判するようになるかもしれません。
「自分さえしっかりしていれば影響されない」と思うかもしれません。
しかし人間は、それほど周囲と無関係に生きられる存在ではありません。
昔から、
「朱に交われば赤くなる」
「類は友を呼ぶ」
ともいわれます。
付き合う人は、それほど私たちの人生に大きな影響を与えるのです。
似た者同士が集まる理由とは

仏教で大切にされる「同行・善知識」
仏教では、どのような人と近づくかが非常に大切にされています。
蓮如上人は次のように教えられています。
「同行・善知識にはよくよく近づくべし」
「同行」とは、共に仏道を求める仲間のことです。
「善知識」とは、正しい仏教の教えに導いてくれる人をいいます。
仏教を学び実践しようと思っても、一人では怠けてしまったり、間違った方向へ進んだりすることがあります。
だからこそ、同じ道を歩む仲間や、正しい教えへ導いてくれる人との縁が大切にされるのです。
また、
「人の善悪は近づき習うによる」
とも示されています。
人が善い方向へ進むのか、悪い方向へ進むのか。その一つの要因となるのが、誰に近づき、何を学ぶかなのです。
悪い縁から距離を置くことも大切
「悪い人と付き合っても、自分さえしっかりしていれば大丈夫」
そう思う人もいるでしょう。
しかし、最初は「自分は絶対に影響されない」と思っていても、長く接しているうちに、その人の考え方や言葉遣いが当たり前になってしまうことがあります。
これは逆も同じです。
人への親切を大切にする人と付き合っていれば、自分も親切を心がけるようになる。
勉強する人の中にいれば、自分も勉強するようになる。
挑戦している人のそばにいれば、「自分にもできるかもしれない」と思えるようになる。
良い縁に近づくことは、未来の自分を変えることにもつながります。
人生を変えたいなら「縁」を見直してみる
人生を変えたいと思ったとき、多くの人は「もっと努力しなければ」「自分が強くならなければ」と考えます。
もちろん努力は大切です。
しかし、自分の意志だけですべてを変えようとすると苦しくなります。
そこで一度、自分を取り巻いている「縁」を見直してみることも大切です。
普段どんな人と付き合っているでしょうか。
どんな場所で時間を過ごしているでしょうか。
毎日どんな情報を見て、どんな言葉を聞いているでしょうか。
今の自分も、さまざまな縁の中で作られています。
だからこそ、これからの人生を変えたいのであれば、自分を良い方向へ導いてくれる縁に近づくことが大切なのです。
まとめ|良い縁に近づけば人生は変わる
人間の心は、周囲からまったく影響を受けずに存在しているわけではありません。
付き合う人、過ごす場所、触れる情報など、さまざまな縁によって心や行動は変化します。
だから仏教では、良い縁に近づくことを大切にします。
人生を良くしたいと思ったら、自分を責めたり、意志の力だけで無理に変えようとしたりする前に、
「私は今、どんな縁の中にいるだろうか」
と考えてみてはいかがでしょうか。
付き合う人を選ぶ。過ごす場所を変える。良い教えに触れる。尊敬できる人に近づく。
小さな環境の変化が心を変え、行動を変え、その積み重ねが未来を変えていきます。
縁を選ぶことは、これからの人生を選ぶことでもあるのです。
感想
人生は縁によって大きく変わることがわかりました。誰と付き合うか、どんな場所を選ぶか、どの時期になるか。これらを意識することで人生は変えられる。
また、善い縁には近づくようにして、悪い縁からは遠ざかることも大切。普段から善い行ないをするように心がければ、類は友を呼ぶように善い縁を呼びこむことができると思います。
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