祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
この『平家物語』の冒頭は、日本で最も有名な一節の一つです。
ここで説かれているのは、仏教の根本思想である諸行無常です。
どれほど栄えたものでも、永遠に続くものはありません。
この「盛者必衰」の真理を、身をもって体験した人物が平徳子でした。
諸行無常についてはこちらも

平徳子は栄華の頂点に立った女性
平徳子は、平清盛の娘として生まれました。
17歳で高倉天皇に嫁ぎ、23歳で皇子(後の安徳天皇)を出産します。
天皇の母になった徳子は、当時の女性としては最高の地位に立ちました。
誰もがうらやむような人生に見えたのです。
栄華は長く続かなかった
しかし、その幸せは長く続きませんでした。
26歳になると夫の高倉天皇が亡くなり、その後、父・平清盛も世を去ります。
さらに28歳には木曽義仲が京へ攻め入り、平家は都落ちを余儀なくされました。
そして30歳。
壇ノ浦の戦いで平家は滅亡します。
徳子は幼い安徳天皇を抱いて海へ身を投げます。
安徳天皇は命を落としましたが、徳子は源氏の武将に助けられ、生き残りました。
わずか十数年の間に、人生は頂点からどん底へと変わったのです。
出家して知った仏教の真実
31歳で徳子は出家し、仏門へ入りました。
そして、自らの人生を振り返って、
「私の人生は六道をさまよっているようなものだった」
と述懐しています。
六道とは、
・地獄界
・餓鬼界
・畜生界
・修羅界
・人間界
・天上界
という迷いの世界です。
人生には喜びも悲しみもあります。
成功も失敗もあります。
しかし、それらに振り回され続ける姿を仏教では「六道を輪廻する」と教えています。
徳子は栄華と没落の両方を経験したからこそ、この教えを身にしみて理解したのでしょう。
仏教は未来を変える教え
お釈迦さまは、次のように説かれています。
過去の因を知らんと欲すれば現在の果を見よ。未来の果を知らんと欲すれば現在の因を見よ
現在の結果には必ず原因があります。
そして未来もまた、今の行いによって決まってしまいます。
農家の人は、まいた種を見れば何が育つか分かります。
トマトの種からキュウリは育ちません。
同じように、人生も現在の行いという「種」が未来という「実」を生み出します。
だからこそ、未来をより良いものにしたいのであれば、今の行いを大切にすることが何より重要なのです。
因果の道理についてはこちらも

諸行無常は悲観するための教えではない
「諸行無常」と聞くと、「どうせ何をしても無駄」という意味に受け取られることがあります。
しかし仏教は、そのようには教えていません。
すべてが変化するからこそ、苦しみも永遠ではありません。
そして、今の善い行いは未来の善い結果につながります。
変わる世界だからこそ、私たちは今日の一歩を大切にできるのです。
まとめ
『平家物語』は、平家一門の滅亡を描いた歴史物語であると同時に、仏教の「諸行無常」と「因果の道理」を伝える作品でもあります。
平徳子は、栄華の絶頂から没落までを経験し、その果てに仏教の真理へと導かれました。
私たちも人生では、思い通りにならない出来事に出会います。
しかし、お釈迦さまは、
未来の果を知らんと欲すれば現在の因を見よ
と教えられました。
未来を変えたいなら、変えるべきは過去ではありません。
今日という一日に、どんな種をまくか。
その積み重ねが、これからの人生をつくっていくのです。
感想
平家物語の冒頭の部分は有名です。まさに仏教思想である諸行無常という言葉が入っているます。学校の授業で学んだという人は多いと思います。僕も学校で習った記憶があります。
平徳子という登場人物はとても波乱万丈の人生でした。時の天皇と結婚し女性としては最高の立場につきながら、やがて平家が滅んでいき入水自殺未遂まで追い込まれていき、そして仏門に入ることになる。
順境も逆境も続かない、それが諸行無常です。この世は諸行無常であることを知ることで人生に対する姿勢も変わってくると思いました。
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