要約
■ ニューロテクノロジーは人を幸せにするか
・ ニューロテクノロジーとは脳波の電子信号を調べることによってその人の喜怒哀楽の感情がわかる
・ 心の中を見られるのはプライバシーの侵害にならないか? 果たしてこの技術で私たちは幸せになることができるか?
■ ドラえもん
・ ドラえもんの道具にさとりヘルメットというのがある。ヘルメットをかぶると相手の心が全部わかるという道具。のび太はこの道具をもらい喜ぶ。人の心がわかるのは最高だから。ヘルメットをかぶりしずかちゃんのところへ行く。しずかちゃんはのび太がきて困ったなと思っている。今は遊びたくないから。のび太はその気持ちが全部わかってしまう。のび太は遊ぶのをやめる。しばらくしてジャイアンに会うとさとりヘルメットを取られてしまう。ジャイアンはさとりヘルメットをかぶった。すると自分の歌のリサイタルをみんながすごく嫌がっているのがわかってしまい、がっかりする。さとりヘルメットでは誰も幸せになれない。
・ ニューロテクノロジーでは夫婦の気持ちもわかってしまう
→ 妻は夫のことをぜんぜん好きじゃないということがわかってしまう。それでも夫婦としてやっていけるか。
・ 親子の場合でも同じ
■ 仏教には有っても無くても苦しみ悩む姿は変らないと説かれる
→ 有無同然
→ 無い人は鉄の鎖で縛られて苦しむ。有る人は金の鎖で縛られて苦しむ。いずれも縛られて苦しんでいる
■ 科学は人間が何に使うかによって恐ろしいものにもなる
・ ニューロテクノロジーによって自分のことをどう思っているかがわかってしまうと、好きな人だけを集めて嫌いな人は遠ざけてしまう世の中になる。
・ 愛憎違順 自分に従う者は愛する、違う者は憎む。自分に対する評価によってその人を好きになったり嫌いになったりする。
・ 科学自体に問題はない。科学を使う人間に問題がある。
■ 人間の心には鬼がいる
・ 青鬼 欲
・ 赤鬼 怒り
・ 黒鬼 ねたみ そねみ 憎しみ
→ 三匹の鬼が地獄を造る
・ 仏教では三匹の鬼を抱えた人類がどうしたら本当の幸せになることができるかを教えられている
感想
人の心がわかるようになれば、人間関係がうまくいくように思える。相手が何を考えているかわからないと悩む必要がなくなるし、本音を隠すことなく腹を割って付き合うことができる。だからうまくいきそうだが、心がすべてわかるということは、いいことばかりではない。ドラえもんのエピソードがそれをものがたっている。
僕自身、人との関係がギクシャクしたとき、怒りのあまり言葉で相手を非難しようとしたがギリギリで言えなかったという経験がある。その相手としばらくして関係がよくなり、あのとき怒りのあまり言わなくてよかったなという経験は何度もしたことがある。もし自分の心が相手にすべて伝わっていたらもう仲のいい関係ではいられない。人間関係を良好に築くためには人の心はすべてわからないほうがいい。
仏教では人の心には三匹の鬼がいると教えられる。青鬼、赤鬼、黒鬼、この三匹は人間の煩悩の代表的なものをあらわしている。それは欲、怒り、ねたみそねみ憎しみのことだ。この鬼がいるかぎりたとえ人の心がすべてわるようになっても幸せにはなれない。しかしこの三匹の鬼がいるままで本当の幸せになることが教えられているのが仏教だという。これからも学びつづけたい。
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