要約
■ 愛する人と別れなければならない苦しみ
・ ある夫婦が14才の娘を交通事故で亡くす。何年経っても悲しみは消えない。時が解決してくれるといわれるが悲しみはずっとなくならない。
・ 仏教では八つの苦しみの一つに愛別離苦があると教えられる
→ 愛別離苦以上の苦しみはない
・ 愛別離苦の苦しみを江戸時代の俳人、小林一茶は次のように詠んでいる
☆ 露の世は 露の世ながら さりがら
→ 小林一茶の幼い長女が病気で亡くなったときの悲しみを俳句で詠んだ句
・ 室町時代、親鸞聖人の教えを正確に多くの人に伝えらえれた蓮如上人は次のようにいっている
☆ 人間はただ電光・朝露の夢・幻の間の楽ぞかし
・ お釈迦様の弟子に阿難というい人がいたが、阿難はお釈迦様を亡くしたときに悲しみのあまり気絶してしまった
☆ 会者定離 ありとはかねて聞きしかど 昨日今日とは思わざりけり (親鸞聖人)
→ 会うは別れの始めなり。出会った以上はいつか離ればなれになるとは聞いて覚悟はしていたが、まさかこんなに早く別れがくるなんて。
■ 亡くなった人が私たちに教えてくれたこととは
・ 亡くなった人がご縁となって仏縁を結ぶ人は今も昔もいる
・ 平安朝の歌人である和泉式部が我が子を亡くした悲しみから、次の歌を詠んでいる。
☆ 夢の世を仇に儚き身と知れと 教えてかえる子は知識なり
→ 亡くした子供をきっかけに仏教とご縁を結んだ。あの子は私に仏縁を結ばせるために現れた仏の化身だったに違いない。
・ 仏が迷い苦しむ私たちを救済するために、私たちのところに現れる。ある時は親となって現れ、ある時は子供となって現れ、またある時はパートナーとなって現れる。いろいろな形で現れ私に仏縁を結ばせようとなされる。
感想
愛する人との別れが一番つらい苦しみだといわれる。特にわが子を亡くした親の悲しさは想像を絶するものだ。僕の身近な人にそういう人はいないが、ニュースなどで子供を亡くした親が涙を流している映像を見たことがある。もし自分の知り合いに子供を亡くした親がいたら、なんと声をかけていいかわからない。
僕の友達で、自ら命を絶った人が何人かいる。そのことを聞いたとき、最初は信じられなかった。ウソや、としか言葉がでなかった。その現実を受け入れるのに何日か必要だった。
仏教では四苦八苦の中でも愛別離苦が一番苦しいものだと教えられる。自分の人生を振り返ってみても、愛する人との別れは苦しかった。そう思うと、途端に仏教の教えが身に染みてくる。仏教って自分の苦しみを分かってくれる、言い当てているなと感じる。仏教ってこんな教えだったんだと改めて発見した気持ちが湧いてくる。
仏教を学ぶ面白さは、自分の苦しみを言い当てていると感じられることも、一つの要因だと思う。
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