監督略歴 ウォン・カーウァイ 5歳の時に香港に移住。香港理工学院卒業後、TV局勤務を経て、1982年映画脚本家に。1988年、監督デビュー。「欲望の翼」(1990)で、その独特な映像感覚が注目される。「恋する惑星」(1994)、「天使の涙」(1995)が世界的にヒットした。「ブエノスアイレス」(1997)でカンヌ映画祭監督賞を受賞。「2046」(2004)では度重なる撮影中断と木村拓哉の出演で注目を集めた。

感想
ウォン・カーウァイ監督は有名だから名前だけは知っていたが、作品を観たことがなかった。この「マイ・ブルーべりー・ナイツ」はとても良かった。観終わった後は心が温まる作品だ。
本作は映像がスタイリッシュで、色彩感覚がいい。物語の前半は非常にクローズアップのシーンが多く、主人公の感情がより伝わってくる。主人公が恋に落ちるバーの店員が人を覚えるのに、名前ではなく注文した食べ物の種類で覚えている、という設定が面白かった。
主人公とバーの店員が徐々に心を通わせていくストーリーも良かったし、アルコール依存の警察官やセレブな女と出会い、交流をしていくなかで友情が深まるところも良かった。
登場人物がそれぞれ魅力的なのは、妻や父親に素直になれず会えば喧嘩してしまうが、突然の死によって別れがきて後悔する。本当は和解したかったというところに共感する。妻や父親は、一番身近だからこそ大事なはずなのに、近すぎるが故に反発してしまう。近いから、わかってもらえないし、わかってあげられない、というジレンマ。誰しもが経験したことがある気持ちが描かれていて、物語に惹きつけられる。
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