齋藤孝の30分散歩術

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プロローグ 私は人生で何度も歩くことに助けられた

歩くことは、「健康のためによい」というイメージがあるのではないでしょうか。とくに年齢が高い人ほど、そのように感じていることでしょう。歩くことは健康法のいちばん大きな柱です。私自身も健康のために歩いていますが、下半身が衰えると、あちこちバランスが崩れてきます。しかし実は、歩くという行為は精神にもたらす影響もまた、非常に大きい。私はそう思っています。それは単にストレスが解消されて、気分がよくなるという意味にとどまりません。経験上、歩くことは、仕事をしていく上でもプラスに働くと実感しています。というのも、ストレスが減ると心に余裕が生まれて、頭の稼働率がアップし、当面の仕事に対して前向きに向えるようになるからです。

本書の著者 齋藤 孝 1960年静岡生まれ。東京大学法学部を卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。『声に出して読みたい日本語』(草思社・毎日出版文化賞特別賞)がシリーズ260万部のベストセラーになり、日本語ブームの火付け役となる。著書累計出版部数は1000万部を超える。

私は経験的に、散歩がコミュニケーションにも大変よい影響をもたらすと感じています。まずいえるのが、歩きながらの会話は、ネガティブな方向にいきづらいということです。(中略)これは、一緒に並んで前を向いて歩く行為が文字通り「前向き」なことであり、愚痴など後ろ向きのことを、いつまでも話す気になれないからではないでしょうか。

この言葉の通り、僕自身も歩きながらの会話は前向きでポジティブになる傾向が強い。歩きながら喧嘩するということもあまりないし、グチグチとネガティブなことをいうこともないと思う。

歩くことは、前に向かって進み、一カ所にとどまらないという行為です。また、一緒に歩いている人とは、うっすらとそのイメージを共有します。だから一緒に歩くと友情の関係性が深まりやすいのだと思います。

人生のなかで一番よく歩いたのは小学生の頃だった。学校までの登下校の際に歩きながら話をした経験があるが、一緒に歩くことで友情が深まるし、同じイメージを共有できていた。大人になって誰かと一緒に歩くことは減ってしまったが、何かの機会で一緒に歩くときは心の距離が近づくことができたと思うことがある。

恋愛に限らず、対話をしていてお互いを意識しすぎてしまい、ぎこちなくなったり、うまく気持ちが伝えられないといった経験は、ほとんどの人にあるのではないでしょうか。向き合って言うべきこともありますが、向き合っていては言えないこともあります。歩いていてお互いを見ていない状況だからこそ、言えることがあるのです。

お互い面と向かっていると息が詰まると思うことがある。特に話しがとぎれたときなどは、視線をどこに向けていいのか困ったりする。なんだか気まずい雰囲気になり、いたたまれない空気になる。それよりは歩きながらだと、お互いが前を向いているから視線に困らないし、沈黙になってもそれほど気にならない。

本書では歩くことについて、さまざまな考察がされている。ここでは紹介できなかったが、詩や小説や映画などの場面から歩くことの重要性が語られいているところもある。日常生活で歩くことはコミュニケーションを円滑にし、対人関係を良好にすることができる、と書かれているのが、この本の特徴だといえる。

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この記事を書いた人

1983年生まれです。
仏教を学んでよりよい人生をおくりたいです。
みなさん一緒に学びましょう。

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