はじめに
うまく行く人とそうでない人の差は、どんなところにあるあと思いますか? 「ひらめき」というと、多くの人は新商品開発のアイデアを思いつくとか、新しい企画提案を考えるとか、仕事のクリエイティブな要素ばかりを想像しがちです。しかし、「今日のお昼ご飯は、カレーライスを食べてみよう」とか、「今年は宅建に挑戦してみよう」とか「10年後には、自分はこんな人間になっているぞ」というワクワクするような未来を描くことだって実は「ひらめき」なのです。ということは、「ひらめき」の力があればあるほど、仕事がうまく行くのはもちろんのこと、人生全般だってドキドキワクワクが連続の素晴らしいものにだってできるのです。ですから本書では、ぜひ皆さんに、この「ひらめき」の力を鍛えていただきたいと思っているのです。

本書の著者 佐藤富雄 作家、生き方健康学者。スピール・ハーレ大学(ルーマニア)教授、ルーマニア名誉領事。心と体の制御関係について研究をすすめ、科学から捉えた人生100年時代の生き方論を提唱。特に、大脳・自律神経系と人間の行動・言葉の関連性から導き出した「口ぐせ理論」が話題を呼ぶ。
「ひらめき脳」は「最高だな」とか、「気持ちいいなあ」と、まさに快適さが頂点に達するようなモチベーションのときに、威力を発揮します。(中略)わたしたちが唯一、主体的に「快適なモチベーションをつくろう」としてオピロイド系ホルモンで脳内が満たされた状況をつくれるのが、まさに”歩く”という行為なのです。これはウォーキングのような簡単な運動で、誰でもすぐに実感することができます。僕自身、ウォーキングをする習慣を持っているが、ウォーキングをすると「気持ちいいな」と感じることがある。気持ちが明るくなり、前向きになることができる。それは脳内の中でオピロイド系ホルモンというのがでているからだという。ウォーキングの気持ちよさは脳科学で説明できるのが面白い。
哲学者たちも、ただ歩くのではなく、それ自体を毎日の習慣として実行していた人たちです。そして、彼らが偉大な実績を残したということは、その理由も科学的に大いに納得できるものがあります。どうしてかというと、「歩けば頭がよくなる」ということも、科学的にはある程度証明されている事実だからです。これは海馬の中で分泌される、「BDNF 」というホルモンの効果によって分かってきたことです。「BDNF」とは海馬の中の細胞のエサとして、その活動量を高めてくれるものです。(中略)BDNFは机に座っているときにも分泌されますが、それ以上にウォーキングのような運動をしているときに、最も大量に分泌されるのです。だから歩けば歩くほど頭は切れるようになるし、デスクワークなどで動かなくなったら、その時点で頭脳はどんどん退化していきます。ウォーキングを習慣にしていた哲学者が多くいるのは有名な話だ。このブログでも紹介したことがあるが、哲学者が歩く習慣を持っていたのは、歩きながら考えることは非常にいいアイデアが浮かぶと知っていたからだろう。僕自身もウォーキングをしているときに、考えがまとまったり、いいアイデアが浮かぶことがたびたびある。そこがウォーキングの楽しさだと思っている。

ここで注意してほしいのは、わたしが「歩きなさい」ということを提唱すると、「しなければならない」とか「やらなければアイデア浮かばない」と厳格にとらえ、何か過酷な命令を実行しているような気持でウォーキングする人も多いことです。(中略)マイナスの気持ちを抱えたまま歩く習慣をつくっても、それでは脳が「楽しくて仕方ない」という気分にはならないでしょう。(中略)どんなやり方でも構わないですから、むしろ「楽しく歩ける」ことを優先して、自分なりの歩く習慣をつくってほしいのです。歩くことを義務のように感じて、それが辛いものになってしまったら本末転倒だといえる。僕自身も歩く習慣をもっているが、今日はあまり歩きたくないという日はムリして歩かないし、雨の日や雪の日は歩かないようにしている。歩くことが楽しいという気持ちが大事だし、それが続けることのコツだと思っている。
本書では、「ひらめき」についての原理がわかりやすく教えられている。「ひらめき」があることで人生がよりよいものになり、充実した生活をおくることができるとわかる。
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