「脳のために運動しませんか?」 これがこの本でみなさんに提案したいことです。もしも、あなたが「運動って体のためでしょ?」と思っているなら、急いでその認識を改めていただく必要があります。もちろん運動が体にいいことは疑いようのない事実ですが、最新の脳科学では、運動が脳に及ぼす驚きの効用の数々が明らかになってきています。これからご紹介する内容のごく一部をここに挙げるなら、運動すると「脳の情報処理効率が高くなる」・「認知症になりにくい」・「集中力が高まる」・「ストレスに強くなる」といったことです。 「運動は得意じゃない!」「体力に自信がない」「歳を取りすぎている!」という方も、身構える必要はありません。わずかな時間の散歩にさえ、認知能力を高め、感情を整える効果があります。

本書の著者 陳 冲 医学博士。山口大学大学院医学系研究科 高次脳機能病態学講座助教、元理化学研究所脳科学総合研究センター研究員。
望月泰博 理学博士。理化学研究所脳神経科学研究センター研究員、早稲田大学非常勤講師。
「自分が最高に気持ちいいように運動時間と運動強度を調整しながら身体を動かす」これまでの研究では30分~35分の低強度の運動が活力を伴うポジティブな感情を高めるのに最も効果的である。この研究の通り、僕自身も低強度の運動(ウォーキング)をしているが、確かに気持ちはポジティブなものになる。運動の前は気分が落ち込んでいても、運動のあとには前向きになることが多い。しかもウォーキングはそれほど疲れを感じないので継続しやすい。
「やろうと思えば確実にできること」を習慣的に行うことが意志力を鍛えるコツであるが、運動によって意志力を鍛えることには、他の方法よりも大きな期待ができる。セルフコントロールは、運動することで鍛えられる実行機能の働きの1つだからです。運動によって意志力が鍛えられるというのは僕自身実感している。ウォーキングを習慣にするようになってから、物事を続ける力というものが高まった。また人間関係においても、長く友人関係を築くことができるようになりとても人生が豊かになった。

「ポジティブな感情を頻繁に感じるヒトほど人生のさまざまな面で得をしている」仕事については、ポジティブな感情を頻繁に感じるヒトほど、仕事のパフォーマンスが高く、上司からの評価が良く、給料もいい。対人関係や社会行動については、ポジティブな感情を感じる頻度が高いヒトほど、近しい友人や配偶者との関係がうまくいっており、利他的な行動を見せる。この研究結果を知ると、ポジティブな感情がどれだけ人生において有益なものかがわかる。ポジティブな感情にするためには運動をすることがいいことは前述のとおりだが、この研究結果を知るか知らないかで運動に対するモチベーションも変ってくる。僕自身はウォーキングをする習慣を身につけてよかったととても満足している。
本書では、運動が脳に及ぼす影響をさまざまな研究結果から証明している。脳というのはまだまだ未解な世界だが、この本を読み終わったあとには脳のために運動したくなるだろう。
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