サービス、物流、労働力のグローバル化が進み、異文化を背景にもつ人びとと接点をもつことが増えました。文化の違いや人種の違いによって、他人に対してレッテルを貼りつけるのには断固として反対です。でも「どうしてあの人は、私の思い通りに動いてくれないのか?」というような不満を感じたときには、それを「あの人」のせいにするのではなく、「文化の違いかも?」と考え、一呼吸おくことは大切な心構えだと思います。どちらが悪いわけでもないのです。アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ……。今後ますいろいろな文化を背景にもつ人びとが日本にやってくるでしょう。どちらが悪いのでもなく、ボタンの掛け違いは起こります。お互いを理解し、尊重する気持ちが大切です。そのためには「話せばわかる」という信念と同時に、「わかり合えないこともある」といういい意味での割り切りも必用です。ところで、もっとも身近にいる異文化人といえば……。世界共通、異性ではないでしょうか。もちろん同じ文化圏に暮らしてはいますが、ときに男女の意識の「違い」は、文化の違いよりも大きいといるのではないでしょうか。だから夫婦の間には諍いが絶えません。夫婦だからこそ、距離が近いからこそ、摩擦も生じやすくなるといいうこともあるでしょう。

本書の著者 おおたとしまさ 育児・教育ジャーナリスト、心理カウンセラー。1973年東京生まれ。上智大学卒業。長男誕生を機にリクルートを脱サラ。数々の育児・教育雑誌の編集を経て、現在は、男性の育児、子育て夫婦のパートナーシップ、学校・塾の役割などについて、取材・執筆・講演活動を行う。
「誰のおかげで飯が食えていると思ってるんだ!」なんて言う夫は今どきいないとは思いますが、それを言うなら「誰のおかげで仕事ができていると思ってるんだ!」って感じですよね。自分が仕事をして家族を養っているつもりかもしれませんが、自分だって家族から支えられて、いいコンディションで仕事ができていることを忘れてはいけません。これは典型的な昭和の亭主関白な男性によくある言動だ。僕の父もこのようなタイプだったと思う。令和の時代においてこのような発言をする夫は少ないと思うが、夫婦とはお互いに支え合っていることを意識しなければならない。「俺のおかげで生活できている」と思って妻を見下していたら、早晩に妻は離婚を考えるかもしれない。夫婦は常に感謝しあう関係でありたいと思う。
女性は、自分の心の中の喜怒哀楽を、誰かに話すことでストレスを解消するのが好きなようです。昼下がりの喫茶店で、おばさまたち数人が話しをしているテーブルの近くにいると、それぞれに言いたいことを言っていて、お互いの主張が微妙に食い違っていてもお構いなしで全然関係ない別の話題に移っていくという、超絶の会話が聞こえてくることがあります。女性はよくしゃべるな、と思うことがよくあるがそれはストレス解消になっているからだといわれれば納得がいく。僕自身の過去の恋愛においても、彼女はよくしゃべる人だった。いろいろ話をしてくれるのは嬉しいが、こっちの話しもしっかりと聞いてほしいなと思うことが何度もあった。でもよくしゃべる人と付き合うと、聞く力が鍛えられるしどういう質問をしたらいいかもよく考えるようになった。それがのちの人間関係におおいに活かされることになった。

「自分のことをわかってもらいたい、それなのにどうしてわかってくれないの」という気持をお互いに抱えているから喧嘩は生じます。どうでもいいと思っている相手とは喧嘩にもなりません。つまり、喧嘩の目的は相互理解なのです。上手に夫婦喧嘩をするための心得を三つ紹介します。「勝とうとしない」「仲直りまでが喧嘩」「無理にまとめようとしない」人と喧嘩をするとどうしても相手に勝ちたいと思ってしまう。自分の意見が正しいことを押し通したい気持ちになる。そうではなくて、お互いの意見の違いを理解しあうことにつとめる。相手を打ち負かして優越感に浸ってもそのあとの関係は、喧嘩の前よりも冷え切ったものになるだろう。喧嘩したときに気を付けたいことだ。
本書では他にも夫婦関係に起こるさまざまな問題を取り扱っている。なかでもセックスレスと夫婦関係について深く言及していて、とても勉強になると思う。今、夫婦関係に問題がない人も、ある人も一度読んでみることをおススメする。
コメント