プロローグ ~苦労が「思考」「感性」「勇気」を育てる
伸びる人、伸び悩む人の差
毎年、プロ野球界にはたくさんの新人選手が入ってくる。例年同じ光景が繰り広げられるのだが、今年(2014年)で言えば東北楽天ゴールデンイーグルスに入団した松井裕樹のように、ペナントレースが始まる前からスポーツ紙の1面を何度も賑わせる新人もいれば、マスコミやファンからほとんど注目されることがないまま、プロ野球人生をスタートさせる新人もいる。プロ野球の世界が面白いのは、5年後、あるいは10年後には、両者の立ち位置ば完全に逆転しているケースも珍しくないということだ——
本書の著者 野村克也 1935年、京都府生まれ。京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)に入団。1965年に戦後初の三冠王になったのをはじめ、MVP5回、首位打者1回、本塁打王9回、打点王7回、ベストナイン19回、ダイヤモンドグラブ賞1回などのタイトルを多数獲得した。1970年からは選手兼任監督となり、その後、ロッテオリオンズ、西武ライオンズに移籍。1980年に45歳で現役を引退。解説者となる。1989年に野球殿堂入り。1990年には、ヤクルトスワローズの監督に就任し、4度のリーグ優勝、3度の日本一に導く。1999年から3年間、阪神タイガースの監督、2002年から社会人野球のシダックス監督、2006年から東北楽天ゴールデンイーグルスの監督を歴任。

本書は野村克也さんの野球人生で苦労して得られた哲学が語られている。その中から心に残ったところを3つ紹介したいと思う。
その①
私は、苦労に直面したときに、その苦労にどう向き合ったかによって、その人自身の生き方、考え方が定まってくると思っている。「若いうちの苦労は買ってでもしろ」とう言葉があるが、これは若いうちの苦労がブレない生き方を確立するうえで欠かせないものだからだ。
僕自身も10代後半から20代後半まで人生がうまくいかず、どう生きたらいいのか悩みが多かった。悩みが多かったから自然と本を読むようになり、読書にハマった。自分の人生では得ることが出来ない考え方や生き方を知り、自分の人生が変わっていくきっかけになった。もし苦労しなかったら今の自分はありえないので、苦労してよかったと思う。
その②
凡人は素質だけでは勝負できない。必ず壁にぶち当たる。苦労をする。だからこそ己が生きる道を必死で考え、変わることができるのである。人間の本当の勝負は、「実は自分にはたいした素質があるわけでなない」と気づいたところから始まる。
転職をいろいろしてきたが、どの会社でも僕は優秀な社員にはなれなかった。凡人もいいところだった。会社勤めは自分には合わなかった。自分が生きる道を必死で探してでてきたのが、ブログを書くという道だった。たいした素質が自分にはないことを知ることで、どう生きるかが見えてくる。
その③
人は己の才能を過信した時点で思考が止まり、成長も止まるものである。しかし劣等感を抱いている人間は、自分の才能を過信するようなことは決してない。ウサギとカメのたとえで言えば、己の鈍重さを知っているのがカメの強みである。だから高みを求めて歩み続けることができるのだ。
ウサギとカメのたとえでいえば、僕自身は間違いなくカメだと思っている。皆で一緒に何かはじめても、必ず出遅れるし、皆はどんどん先へ行ってしまい差をつけられるということは何度も経験している。しかし、勢いよく先にいった人たちは途中でバテてしまうことが多い。僕自身はマイペースにコツコツ進んでいると、いつしか先に飛び出していった人たちを追い抜くことも経験したことがある。だからカメであることを恥じることはないと思っている。

この本には、他にも野村克也さんが野球人生で苦労に直面したときに、「思考」や「感性」を働かせてどう乗り越えていったか、そして今の自分から変わる「勇気」を持つことの大切さが教えられている。これはどの世界でも通じる哲学となっているから、ぜひ一度読んでみることをおススメする。
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