結果的に損する
人によって態度が変わる人というのは、目先の損得で動いている人であり結果的に損をします。
例えば、仏教で布施(親切)と言われる教えがあります。布施はお釈迦さまが教えられ六つの善い行い(六度万行)の筆頭にあがるものです。人に親切する(与える)人は、人からも親切(与えられ)される幸せな人生を歩めます。
これを善因善果といいます。善い行ないをすれば、幸せな運命にならるという教えです。
人によって態度が変わる人というのは、この人に親切したらいずれ返ってくるだろう、と計算がたつ人です。この人に布施をしても返ってこないと思う人にはやりません。
それは目先の損得しか考えていないということです。
私たちは目先の智慧しかわかりません。そういう人は結果的には幸せになれない。この人に親切しても返ってこないからと冷たい態度をとることは、相手はバカにされたと思われます。その人に対していい感情は持ちません。
布施の反対を慳貪といいます。ケチで相手のものを奪うことを慳貪といいます。慳貪は悪い行いだから不幸になります。悪因悪果です。
奪っても何も言わない人からはとことん奪い、奪ったら怖い敵になる人からは奪わない。これも目先の損得しかわかっていない行動です。
人によって態度を変えることで恨みを買うこともあるし、人によって態度を変えない親切をすることで思わぬ幸せがやってくることもあります。
周囲から好かれない
人によって態度が変わる人の末路はもう一つあります。周りの人から好かれないということです。
裏表のある人物として見られるからです。人の事を平等に見ない、エコひいきする人は嫌われます。学校の教師でも万事冷たい人よりも、一部の生徒だけ可愛がる教師のほうが嫌われるといいます。
サラリーマンでも、上司にはペコペコ頭を下げるけれど部下に対してはすごく横柄な態度をとる人は人格者だとは思われない。部下はみな嫌います。
人によって態度を変える人は周りの人から好かれない。
ジョン・F・ケネディの言葉に次のようなものがあります。
成功には1000人の父親がいるが、失敗は孤児である
意味は、成功するとあいつを育てたのは俺だ、あの人に対して私はこのように関わったと言い出す人が1000人でてくる。ところが失敗した場合、あんな奴は知らないと言って誰も関わろうとしない。その人が成功するとチヤホヤするが失敗すると無視して冷たくする。
また、銀行を揶揄する言葉で次のようなものもあります。
晴れた日に傘を貸し
雨の日に傘を取る
意味は、会社が順調で調子がいいときはもっとお金を借りませんか、とチヤホヤする。しかし会社が傾き始めると、お金を返してくださいと言ってくる。会社が傾いて本当に困っているとき、お金を返せとせまってくる。
銀行の体質をあらわしている言葉です。
こういう行動をとる人は好かれない。人によって態度を変える人ほど、どんどん周りの人からの信用は失っています。
感想
人によって態度を変える人は、損をするし、周りの信用を失ってしまうという。自分にとって大事な人や好きな人に対しては態度は良くなるが、嫌いな人には冷たくしてしまう。どんな人にも平等で接するのはとても難しい。
この人に親切したら返ってくるかもしれないから親切にしよう、と思うのが一般的ですが親切した相手からではなく、巡り巡って違う人から返ってくることもあると仏教では教えられます。それが「情けは人の為ならず」です。だから人によって態度を変えるのではなく平等に親切をすることが大事です。
仏教の教えはとても実践的です。
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