はじめに「幸せ」とは何か?
幸せになりたいですか? ほとんどの人は「はい」と答えるでしょう。では、あなたにとって「幸せ」とは何でしょう? どんな状態になったら「幸せ」と言えますか? 「えーと……」ほとんどの人は口ごもります。間髪入れずに答えられる人は非常に少ないはずです。「幸せとは何か?」が、ハッキリしない状態で、幸せになることができるでしょうか? 「目的地」を決めてもいないのに、「目的地」に到着することはありません。あるいは、どんな状態になったら「幸せ」かがわからずに、自分が「幸せ」になったときに、それに気付けるでしょうか? 「幸せの定義」次第では、今、もうすでに「幸せ」になっている可能性すらあるのです。あなたが気付いていないだけで。一流高校、一流大学に入り、一流企業に就職すれば、幸せになれる! 仕事を一生懸命頑張れば、幸せになれる! 我武者羅に頑張れば、幸せになれる! いつか素敵なパートナーが現れて、幸せな結婚ができるはずだ! 全て誤りです。よくある「幸せになる方法」は、たいてい間違っています。

本書の著者 樺沢紫苑 精神科医、作家。1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、累計フォローワー50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一のアウトプットする精神科医」として活動している。
さあここで、有史以来、多くの人が頭を悩ませてきた「幸福とは何か」の問いに、本書はたったの10秒で答えを出してしまいましょう。ドーパミン、セロトニン、オキシトシンが十分に分泌されている状態で、私たちは「幸福」を感じる。つまり、脳内で幸福物質が出た状態が幸せであり、幸福物質を出す条件というのが「幸せになる方法」であると言えます。幸せとは脳内に幸福物質がでている状態だというのはとてもわかりやすい。幸せになりたかったら、どうすれば脳内に幸福物質がでるかを考えればいい。その方法も本書には書かれているのでとても勉強になる。自分が不幸だと思うときはドーパミン、セロトニン、オキシトシンが十分に分泌されていいない状態だともいえる。
小さな幸せに「気付く」能力をトレーニングすることが大切です。別にそんな小さな幸福なんてどうでもいい。自分が欲しいのは、もっと大きな幸福なんだからと考える人も多いでしょう。しかし、それは無理な話というもの。「小さな幸福」に気付けない人は「大きな幸福」に気付けないからです。普段の日常生活で小さな幸福は見落としがちだが、それでは大きな幸福には気付けないという。小さな幸せに気付く能力をみにつけ、大きな幸せに気付けるようになりたい。

一日10個の出来事があるとします。5個は「楽しい」出来事。5個はつらかったり、大変だったり面倒くさかったりする、「苦しい」出来事。そして一日の最後に3つの出来事を思い出します。「苦しい」出来事を3つ思い出す人にとって、その日は「苦しい」一日となります。「楽しい」出来事を3つ思い出す人にとって、その日は「楽しい」「幸せな」一日となります。これは「幸せ収集能力」の違いによるものです。一日のなかで楽しいことか、苦しいことどちらに意識を向けるかが重要だという。確かに苦しいことばかりに目がいくようではいつまでたっても幸せを感じられない。一日のなかの楽しいことや幸せなことに気付くことができるように「幸せ収集能力」を高めていきたい。そのためには「ポジティブ3行日記」をするといいといわれる。「今日あった楽しい出来事」を3つ書くことでポジティブ思考をトレーニングできる。
本書では幸福について、脳科学や心理学の観点から考察されている。今より幸せになるにはどうしたらいいかがわかり、実生活ですぐに実践したくなることばかりが書かれている。幸福についてより深く知りたい人にはオススメの本である。
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