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私たちはいま、混迷を極め、先行きの見えない「不安の時代」を生きています。豊かなはずなのに心は満たされず、衣食足りているはずなのに礼節に乏しく、自由なはずなのにどこか閉塞感がある。やる気さえあれば、どんなものでも手に入り何でもできるのに、無気力で悲観的になり、なかには犯罪や不祥事に手を染めてしまう人もいます。 そのような閉塞的な状況が社会を覆いつくしているのはなぜでしょうか。それは、多くの人が生きる意味や価値を見いだせず、人生の指針を見失ってしまっているからではないでしょうか。今日の社会の混乱が、そうした人生観の欠如に起因するように思えるのは、私だけではないと思います。

本書は「平成の経営の神様」といわれる稲盛和夫さんの著書である。1932年、鹿児島生まれ。京セラや第二電電(現KDDI)を創業し、晩年には日本航空の経営再建に取り組む。松下幸之助や本田宗一郎と並ぶ名経営者として知られる。
人生と仕事との関係を「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」といい表したところがとても面白いなと思った。まず考え方が一番大事だという。考え方にはプラス100点からマイナス100点まであり、考え方がマイナスだとどれだ熱意と能力が高くても結果はマイナスになってしまう。考え方に気をつけなければならない。
「お釈迦さまが説く六波羅蜜を心に刻め」 これは布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧の六つの行いのことだが、稲盛さんはよく仏教を学んでいることがわかる。そして六つのなかで精進を一番重要だといわれる。日々の仕事において一生懸命働くこと、つまり精進することがいい人生にすることができるという。六つの行いのなかでどれを大事にするかは人それぞれだが、稲盛さんが精進を選んだのは「経営の神様」と呼ばれるほど仕事人間だったからだろう。僕自身は忍辱を大事にしている。

「因果応報の法則を知れば運命も変えられる」 運命は宿命にあらず、因果応報の法則によって変えることができると稲盛さんは説かれる。これは政治家や経済人に多大な影響を与えた思想家・安岡正篤さんが中国の古典「陰隲録」をひもとかれた著作で学んだことだという。善き思い、行いを重ねていけば因果応報の法則が働いて、運命に定められた以上の善き人生を生きることが可能である。稲盛さんは仏教や中国古典に詳しいことがわかるが、自分の運命は自分の行いにかかっていることをとても自覚していると思った。自分の運命を他人任せにしない、とても大事なことだ。
本書は稲盛さんの人生観や仕事観をまとめた決定版になっている。僕自身は本書を通じて、仏教や中国古典の世界に興味を抱くようになった大切な一冊である。
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